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KDS dosokai - 桑沢デザイン研究所 同窓会

Kuwasawa Award 2017

桑沢賞授賞式

今回で25回目を迎えた桑沢賞の表彰式&パーティーが、2017年5月20日(土)に東京・原宿クエストホールにおいて開催されました。 会場には桑沢賞25年を記念してこれまでの受賞者51名の顔写真を掲載したバナーが掲げられ、さらに桑沢賞の発案者の元同窓会会長山田脩二さん、中西元男さんが桑沢賞のあゆみと思いを語ったビデオが上映されるなか、今回もタレント&工業デザイナーの稲川淳二さんの司会によりにぎやかに表彰式が行われました。

始めに八十島博明同窓会会長による開会の挨拶で、「桑沢賞は今年でなんと25回を迎えました。会場にはこれを記念して、これまでの桑沢賞受賞者の顔写真バナーを掲げましたのでご覧いただきたいと思います。さて、おめでたい席のなかではありますが、同窓生の大看板であった元同窓会会長の内田繁さんと、グラフィックデザイナーの長友啓典さんが相次いでお亡くなりになりました。特に内田さんにはこの桑沢賞の組織運営に輝かしい道筋をつけていただき感謝に堪えません。そして今年もすばらしい桑沢賞受賞者を迎えることができました。桑沢の遺伝子はこういう形で世代交代していくのだと思います」と語りました。

桑沢賞2017 特製賞状

桑沢賞2017 特製賞状
Design:
石坂昌也氏(2014年桑沢賞受賞)
Comment:
『見えにくくなることと、確かなこと』時間の中で、確かな実績によって、歴史が重ねられる。 積み重ねられ、面・シーンが生まれるほどに、かつての実績は見えにくく、でも確かに残り続ける。 それらを表現し、実績を作った者、これから作る者を、境なく鼓舞し、より良いデザイン実現の一助となることを目指しました。

桑沢賞2017 特製Tシャツ

桑沢賞2017 特製Tシャツ
Design:
白根ゆたんぽ氏(2016年桑沢賞受賞)
Comment:
学生スタッフさん達が楽しく着られるユニフォームになれば良いなと思い、カレッジTシャツ風にしてみました。メインの女性のイラストは受賞された方のイメージでもあり、勝利の女神でもあり、クリエイターのミューズだったりチアガールだったり、単にスタッフの女の子なのかもしれません。ポイントのカラーは昨年度のTシャツをデザインされた安齋肇先輩の趣旨にのっとり事務局の担当の方の名前からイグサ=グリーンにしました。

桑沢賞(本賞)

白根ゆたんぽ Takahashi Toshiyuki

高橋 俊之氏

アートディレクター
Comment:

まず始めに、推薦していただいた青山先生、本当にありがとうございます。
正直に言いまして、素直に言いまして、びっくりするくらい嬉しいです。

なぜかと言いますと、いま紹介いただきましたように僕の仕事は、東急グループのCMや色々なパッケージデザイン、ラグビー・トップリーグのロゴなど、デザインの幅の広さも僕の魅力の一つと思いますが(笑)やはり永年携わってきたデザインは、70円で買えるアイスキャンディの「ガリガリ君」なんです。

なので桑沢賞のひとつが「ガリガリ君」ということに、皆さんもびっくりしているのではないかと思います。

こういう賞の対象は、いわゆる最先端のカッコいいデザインが多いのではと思いますが、今回の桑沢賞は「カッコいいデザインだけがいいデザインではない」と、デザインの本質、みんなに喜ばれる超大衆的なデザインを、桑沢賞に値すると評価してくれました。そこがすごく嬉しかったです。

最後に、桑沢賞に輝いたこの作品はコンビニで買えますので、お帰りにはぜひ「ガリガリ君」をお求めください。(笑)
本日は本当にありがとうございました。

高橋俊之 作品1 サムネイル 高橋俊之 作品2 サムネイル 高橋俊之 作品3 サムネイル 高橋俊之 作品4 サムネイル 高橋俊之 作品5 サムネイル
吉泉聡 Yoshiizumi Satoshi

吉泉 聡氏

TAKT PROJECT代表 / デザイナー
Comment:

推薦していただいた方々、ならびに桑沢賞関係者の皆様ありがとうございました。私は2005年に入学しました。いまの渋谷校舎が新しくなった年です。

しかし縁に恵まれあっという間に桑沢を去ることになってしまいましたが、プロとして第一歩を踏み始める大きなステップを桑沢という場にいただいた感謝が大きく私のなかにあります。

一方で、お世話になった担任の佐藤先生や事務の先生に全く挨拶もせず、あっという間に失踪するように去ってしまい、それが今まで心の中にモヤモヤしていました。

今日、この賞の受賞の話をいただいた時、私がいただいていいものかという気持ちとともに、この賞をきっかけに深く桑沢と繋がっていくことができるという期待を持ちまして受賞を嬉しく思っています。

今日から胸を張って桑沢同窓生としてデザインに一層励んでいきたいと思います。自分ではまだまだ若いと思っていますので、これからも死にもの狂いでデザインを通して社会と格闘していきたいと思います。本日はありがとうございました。

吉泉聡 作品1 サムネイル 吉泉聡 作品2 サムネイル 吉泉聡 作品3 サムネイル 吉泉聡 作品4 サムネイル 吉泉聡 作品5 サムネイル 吉泉聡 作品6 サムネイル

桑沢特別賞

山下和正 Yamashita Kazumasa

山下 和正氏

㈲山下和正建築研究所 代表取締役 / 建築家
Comment:

私は工業デザイン志望でしたが、大学ではデザインを支える技術を勉強した方がよいと思い、工学部に入学し建築学科に進学してしまいました。しかし大学ではガチガチのエンジニア希望の学生ばかりで、授業もその方向でした。そこでデザインの勉強がしたくて4年生の年に桑沢の夜間部に入学しました。入学した時は今の校舎の前にあったコンクリート造りの校舎ができたばかりの時で、デザインに飢えていた自分が新しい空間のなかでデザインの基礎を学んだことが本当に役に立ったと思います。それが58年後の今日の受賞に結びついたのだと思います。桑沢に感謝しています。本日はありがとうございました。

山下和正 作品1 サムネイル 山下和正 作品2 サムネイル 山下和正 作品3 サムネイル 山下和正 作品4 サムネイル 山下和正 作品5 サムネイル

桑沢スピリット賞

加藤公之 Kato Kouichi

加藤 公之氏

エゾアムプリン製造所
Comment:

受賞の連絡をいただいたとき、何か場違いな感じがしていたのですが、ステージの映像を見たら何かいいなと。これまでの大変だったことは忘れていますが、いまステージの紹介の映像を見たらけっこう頑張っていたなと改めて思い受賞してもいいかなと思い直しています。

私を推薦していただいた織咲誠さん、スチャダラパーの皆さんにお礼を言いたいです。本日はありがとうございました。

加藤公之 作品1 サムネイル 加藤公之 作品2 サムネイル 加藤公之 作品3 サムネイル 加藤公之 作品4 サムネイル 加藤公之 作品5 サムネイル

最優秀桑沢新人賞

桑沢新人賞

馴染む堀口 朋奈

馴染む 写真1 馴染む 写真2
Concept:
人が環境に馴染む"という意味で使う「馴染む」は状態を表現する言葉であり、本来ははっきり目に見えるものではありません。この「馴染む」という言葉を服と風景を使って少しオーバーに視覚化しました。
服単体で見ても成立するように風景選びにこだわり、形も全て違うデザインの服を作りました。
3つのモニターを使用し、スクリーンを右から左へ横断していく人が、様々な環境に馴染んでいく3分間のリピートムービー作品です。
Review:
昆虫や動物の擬態や現代美術家のFeliceVariniやGeorgesRousse等の作品を連想しながらとても楽しく観ることが出来ました。この作品にはモノを作る、デザインすることの全てが盛り込まれていて感心します。
イメージの構築、撮影現場のロケハン、調査、仮撮影、服のデザイン制作、調整、本撮影、編集、そしてプレゼンテーションの舞台装置の設計制作、演出等々の大変な作業の上に成立しているのですが、三つの画面の連動性、映像の美しさ、作品の中に登場してくる本人のキャラクターが絶妙に馴染んでいて、制作過程や裏側の苦労を感じさせない素晴らしい作品に仕上がっていました。
ポートフォリオの作品もとても良かったです。評者 : 田代 卓 (同窓会理事・グラフィックデザイナー/イラストレーター)

色標本縣 季梨

色標本 写真1 色標本 写真2
Concept:
「リンゴのような赤」「石炭のような黒」
小説には様々な「色を表す言葉」が登場する。文字自体には色はないが、このように実在するモノを例にあげることで、色を具体的に思い出すことができる。
この本を通して小説家たちが表現したかった色を提案することによって読者の手助けをするとともにより小説を深く読み解いてほしい。
Review:
目の付けどころと見せ方の妙。小説の著者が文字だけで表現したものを、図鑑のようなグラフィックと、実験室のような標本箱に並べることで、視点を変えて見ることができる面白さ。見応えのある編集力とプレゼン力に、今後への期待が高まりました。評者 : 日下部昌子(同窓会委員・グラフィックデザイナー)

Neutral岩本 彩花

モノ専門の納棺師 写真1 モノ専門の納棺師 写真2
Concept:
持ち主の愛情により、捨てたいけど捨てられずに残ってしまっているモノを専用の棺桶に納め、お別れをする手助けをするのが「モノ専用の納棺師」です。感情を込めてきちんとお別れをすることで、新たな第一歩を踏み出してもらうことを目的としています。 みなさんにも思い当たるモノが、きっとあるはずです。
Review:
学生らしい問題提起にトッピングされるユーモアと日本人的な観念。それでいて身近な「あるある」ネタ。「捨てられない」というどっちつかずの愛のありかたに渡される作者独自の血の通った引導にセンスを感じます。この発想と作業と手間には桑沢らしさを感じ、また今後のご活躍がほんとうに楽しみです。評者 : もりいくすお(同窓会理事・イラストレーター)

MYSTIC清水 彩

MYSTIC 写真1 MYSTIC 写真2
Concept:
霧に包まれたものは、表情を変え、幻想的で、神秘的に、美しくなる。
この香水をまとうことによって、霧に包まれたかのように、いつもの自分ではなく、特別な自分になれるような香水をイメージした。香りは、「街の霧」と「森の霧」の2種類。どこかダークで、ミステリアスな街と、神秘的で美しい、森をイメージした。
20代後半からの女性がターゲット。
Review:
香りにはどこか非現実の世界に連れて行ってくれる不思議な力があります。
心象風景のような幻想的で神秘的な世界をダークトーンと樹脂の積層で巧く表現しています。どこからかすぅーと漂う現代の香りを感じさせてくれます。評者 : 赤羽なつみ(同窓会理事・デザイナー)

現代草書体髙橋 はるか

現代草書体 写真1 現代草書体 写真2
Concept:
草書体は私たちにはあまり馴染みのない書体ですが、草書独特の省略方法から生まれる線の美しさやおもしろさは現代にも通ずるものがあると思い現代草書体を制作しました。
仮名は元となった漢字の書き崩し方を残しながらも楷書の仮名として読めるように制作し、漢字は草書独自の形状を楷書の骨格を壊さないように取り入れ、仮名、漢字合わせて1000字制作しました。
昔のものであるのに新しさを感じるような草書独自の面白い書き方がたくさん取り入れられた書体です。
Review:
学生が新たにタイプフェイスをデザインする場合、太さやエレメントなど肉付け部分の処理に目がいくことが多いが文字の骨格そのものにチャレンジした力作。
単に形の面白さに終始せず、組版も検証しているところに好感が持てる。
スミだまりや意図的に細部を劣化させているところをみるとある程度の大きさで使用するディスプレイ書体なのであろう。評者 : 八十島博明 (同窓会理事・グラフィックデザイナー)

開いてびっくりことわざ辞典山岸 由依

開いてびっくりことわざ辞典 写真1 開いてびっくりことわざ辞典 写真2
Concept:
小さい頃から仕掛け絵本が好きでした。今は、私が子供の頃にはなかった面白い仕組みの絵本が沢山あります。それらの仕組みと文字を組み合わせたものが「開いてびっくりことわざ辞典」です。ことわざは全部で6種類。ポップアップやスリットアニメーションなど一つ一つを違う仕組みにすることで、開く度に新しい驚きがあることわざ辞典を目指しました。
この辞典なら子供から大人まで楽しみながらことわざを覚えられるのではないでしょうか?
Review:
文字が生きているようにくるくると回る。次々とページをめくるのは、まるで小さなサーカスを見ているようで、無条件に楽しい。ネットで調べると何でもわかった気になりがちだが、触感や立体であることの臨場感はまだ再現できない。言葉には体温があるということを改めて気付かせてくれる作品だった。評者 : 森井ユカ(同窓会理事・立体造形家/雑貨コレクター)

学火(まなび)平井 稀美

学火(まなび) 写真1 学火(まなび) 写真2
Concept:
子供が火を体験し役割や正しい扱い方を学ぶことで、その魅力について学ぶための取り組みのことを火育といいます。この「学火」は、家庭内で簡単に、火育を体験できるユニット式の焚き火台です。 燃料の枝型のペレットを組み、着火をし、燃やし、片付けをするまでの一連のながれを学びます。3つのユニットに付け替えると、火がもつ調理・暖房・照明の機能を学べます。楽しみながら、子供と火が関わっていく第一歩となることを望みます。
Review:
焚き火を安全に楽しむためのユニット機器の提案。
“火”をうまく扱えない世代が増えている、都市化によって裸火を扱う機会が減った、一方災害時などでは裸火に頼るシーンも増える。
燃料も完全燃焼に近いペレットを使用し、子供達と一緒に“火”の役割を段階的に、安全に楽しみながら学ぶ、と言う視点に共感しました。評者 : 野口英明(同窓会理事・工業デザイナー)

The intersection of line張 韻儀

The intersection of line 写真1 The intersection of line 写真2
Concept:
建築物の構造を服のテクスチャとして落とし込み、線と面が交わることで生まれる新たなバランスを造形しました。
Adding the architectural construction and the texture into the detail of design. The intersection line constitutes new wearable sculpture.
Review:
生地を折る・捻る・摘む…と、テクニックだけの表現に陥ることなく、洗練された「引き算」のデザインができていることによる完成度が素晴らしいと思いました。基本ができているからこそ説得力のある遊び・抜け感があります。評者 : 三上 司 (同窓会委員・ファッションデザイナー)

くらやみの先へ中澤 萌音

くらやみの先へ 写真1 くらやみの先へ 写真2
Concept:
くらやみとは、誰かの耳の奥や口の奥を覗き込めばわかるように、自分のものでありながらも自分自身も知らない未知の世界である。渋谷のビルとビルの隙間のくらやみを前に立ち止まったとき、ここもわたしの抱えているくらやみと繋がっているのではないかと思い、だとすればこのくらやみに広がる世界は、自分の潜在意識に眠っている大事な世界なのではないかと考えた。わたしはその世界を通して自分が存在する意味に気づき「生きるって素晴らしい」という気持ちを思い出した。
Review:
浮かび上がる黄金の5体が、異なったフォルムと異なったテクスチュアー。
それぞれ違うテクニックで繊細につくりこまれた質感と形のバランスに目が吸い込まれた。評者 : 横森美奈子(同窓会理事・ファッションデザイナー)

New Bug Look新井 朱美礼

New Bug Look 写真1 New Bug Look 写真2
Concept:
虫と私で作りあげる新たな[New Look]のかたち
昆虫の持つ鮮やかでサイケデリックな色や模様は自然が生み出した芸術作品だと思う。
そして魅力的なその姿は多くの好事家たちに愛されている。
そんな虫達と共に私は新しいスタイル『New Bug Look』を作り出した。
私が洋服の歴史の中でNew Lookと感じたスタイルやディティールをエッセンスとした、本当の『New Bug Look』を魅せていく。私のアイデンティティと共に。
Review:
全てオリジナルで制作されたという、万華鏡やノイズを連想させるプリント柄。複雑で強い色彩同士のぶつかり合いとフォーマルなシルエットの融合で、新しいエレガンスの提案を試みているように感じました。評者 : 三上司(同窓会委員・ファッションデザイナー)

異性神﨑 遥

異性 写真1 異性 写真2
Concept:
本は、たいてい一人で読む。好きな場所・姿勢で、自分のペースで静かに読む。だからこそ、読書に集中でき、物語に没頭できると思います。そこで、読書(読みづらさ)に着目して、2人で読む本を作ってみました。不便さから生まれるコミュニケーションを楽しんだり、本そのものへの理解が深まれば、と思います。題材にした作品は、『異性』(角田光代・穂村弘/河出書房新社)。永久に分かり合えない男女の関係性も表してみました。
Review:
向かい合った2人が同じ方向にページをめくれるよう、縦組みと横組みでレイアウトされた文章、味わいのあるイラスト、質感の違う紙が小気味よく配置され、余白までもが何かを物語っているようです。見た目の奇抜さだけではなく、ひと味違ったコミュニケーションが生まれそうなデザインに、きめ細かい思索を感じました。評者 : 日下部昌子(同窓会委員・グラフィックデザイナー)

桑沢賞:審査総評

下川一哉 Shimokawa Kazuya

下川 一哉氏

デザインプロデュ-サー

桑沢賞受賞の髙橋俊之さん、吉泉聡さん、本当におめでとうございます。

この桑沢賞審査委員での選考は3回目となりますが、毎回時間が足りない位の議論をしています。選考にあたり毎回桑沢賞受賞者はできれば一人にしてほしいという無言の圧力が主催者側から出ているのを感じていますが、デザインの多面性、領域の多様さから、なかなか絞りきれないのが本音です。

今回もこのお二人の仕事のレベルはこの桑沢賞にふさわしいということは審査員全員の同意が確認されましたが、対照的なお二人の仕事を見てやはりどちらかということは決めかねる結論となりました。対照的とはいえ共通する面も見られます。それはデザインを通して、ビジネス、社会、流通のそれぞれのステージ、あるいはデザインそのものの問題解決を追求されている点です。問題解決との格闘や価値創造に多面的に取り組まれていることが評価されたと思います。

会場に掲げられている桑沢賞25年のこれまでの受賞者をみて、遜色のない人を選んだと思っています。胸をはって皆様に発表できたのが審査員一同の喜びです。